続きです^^
--ここから翻訳して引用
今後70年間に、地球上においてこの事故が原因で亡くなる人の総数の推定値は、「放射線の被曝による健康被害は、放射線がいかに少なくても線量に比例する」という仮説が正しいか、あるいは正しくないかによって、最大24,000人から最低ゼロ人まで変化する。正しい値はこれらの間のどこかであろう。
(訳者注: 放射線はどんなに少なくても人体に有害なのか、あるいはある閾値以下であれば無害なのか、ということはまだ分かっていない。
「ラジウム温泉」が特有の効能を持つとするなら、低線量の放射線はむしろ人体に有益だということになる。)
この推定値は、ソ連が原子力を使わないで、石炭火力発電を採用した仮想的な場合の年間死亡者の推定値350人(
すなわち70年間に24,500人)と同じくらいである。
(訳者注:石炭を燃やすといろいろ有害なものが生成される。あまり知られていないが、放射能も放出される。)
私がここで「事実」というのは、1996年4月にウイーンで開催された国際会議の発表論文を根拠にしている。
この会議は国連の機関であるWHO、国際原子力機関(IAEA)、欧州共同体(EC)、その他の3つの国連の機関、および欧州開発協力機構の共同開催による。
会議には71の国と20の機関から845人の科学者が参加した。
この会議が、
真実を隠すために参加者全員の仕組んだ世界的な陰謀である、とまじめに主張する人もいるようだが(訳注:笑)。
会議には280名のジャーナリストも参加したが、メディアは相変わらず「既に死亡した何千人ものチェルノブイリの犠牲者」について語っていた(訳注:笑)。
いくつかのケースについては神話の元を突き止めることができる。
例えば、最初に書いた125,000人という数字は、事故に影響された地域における1988年から1994年までの、
普通の老衰から交通事故など、あらゆる原因による死者の総数である。
事故現場の洗浄に従事した600,000人のうちの10,000が亡くなったという数字であるが、これは600,000人の通常の人口の集団であれば、
普通に5年間に死亡する人の数である。
メディアが、このような
でたらめな話を無責任に伝えているもっともありそうな原因は、怠惰(他のメディアの記事をそのまま垂れ流す)と災厄への待望(記事が売れる)、それに陰謀論(読者が好む?)であろうか。
(訳注:ここで著者はマーク・トウェインの名言を引用しているが、訳者は勝手にそれを以下のものに置き換えた。この方がこの文の趣旨にぴったりと思う。)
マーク・トウェイン曰く: 「真実が靴の紐を結ばぬうちに、虚偽のニュースは世界を一周してしまう」
(訳注:この後はごく最近に書き加えられたと思われる。)
2000年に「放射線の影響に関する国連科学委員会」によって作成された、より新しい報告書「電離放射線の源と影響」によると、チェルノブイリ事故による放出物に子供のときに晒された人の甲状腺がんにの発生数は1,800に増加した。
しかし報告書では、この発生数の増大が比較的に短い期間に起っているのは事故の影響であるとは考えにくく、別の原因が作用している可能性もある、と述べられている。
さらに報告書では、甲状腺がんを除けば、
事故による電離放射線で引き起こされたと考えられるその他のがん、および死亡率は全く増加していないことが確認されている。
この報告書はまた、事故後の最初の10年間の平均被曝線量を示している。それによれば、
240,000人の復旧作業従事者の被曝量=100ミリシーベルト
116,000人の避難した住民の被曝量=30ミリシーベルト
汚染地域に住み続ける人の被曝量=10ミリシーベルト
ちなみに、旧ソ連外の全欧州人は一生の間に20ないし50ミリシーベルトの被曝を受ける。
報告書はこれらの被曝線量は、第1のグループでさえ、(上で述べたブラジルの場合などの)自然放射線による年間の被曝量と同程度であり、それゆえに重大なものではありえないと述べている。
--引用終わり